少女鬼畜輪姦その1


「へっ、そんなアンヨで逃げ切れるとでも思ってるのかい?」
 まだ日が傾き始めたばかりの森の中を、数騎の、馬に乗った男たちが少女を追い回していた。足を挫きでもしたのだろうか、少女は左足を庇うようにしか走れず、両手は未発達の乳房をひた隠すように引き裂かれた衣服を掻き抱いていた。背中に垂らした長い髪を振り乱し、息を切らしながら逃げる少女の顔はまだ15,6程度にみえる。大人の女性に仲間入りするにはまだ早いが、かといってこの後に待ち受ける自分の運命が予想できないほど子供でもない。少女はもはや何も考えることも出来ず、ただひたすら森の中の、小石の多い道を男たちの反対方向へ走り続けていた。
「おい、タング! この先は警戒区域だ。いいからもう捕まえちまえよ」
「別にやつらなんか恐くもねえが・・・確かに見つかると厄介かもな、よっしゃ」
 タングと呼ばれたサルのような小男は、そういうとペロリと唇を舐め上げ、腰のベルトに着けていた二つの小石を紐で繋いだ道具----ボーラという狩猟の道具だ----を右手で二つ取り上げて横投げで一つ、返す動作でもう一つと連続で少女の足元に投げつけた。
「きゃぁっ!」
 一本が足首にゆるく巻き付き、もう一本で確実に少女の白い両足を絡めとる。走ってるさなかに突然足の自由を奪われた勢いで、少女はもんどりうって草むらへと倒れ込んだ。もろ手をついて倒れ込む体をかばったせいで、それまで手で押さえることでかろうじて体を保護していた衣服はもはや用を成さなくなり、はだけた上半身から淡い桃色の乳首が無防備にも男たちの貪欲なまなざしにさらされていることを知った少女は、低く悲鳴を上げて白い肌を隠そうと小さく身を縮めた。
 男たちの無遠慮な目は、堅く我が身を守ろうとしているきゃしゃな両腕の付け根にひそんだかすかな膨らみと、ただただ脅えた目、恐怖からガチガチと歯の根のあわなくなった口と、そして馬の上からなら見下ろすことの出来る全体像を交互にじろじろと眺めては下卑た薄笑いを浮かべていた。
 少女を取り囲む輪の中から先ほどタングに命令した男が素早く馬から下り、そして完全に脅えきっている少女の手首を力任せにぐいと掴んだ。
「ひゃーっはっはっは、この脅えきった顔ってやつはいいねぇ!」
 少女の白く細い手首をつかむが早いか男は腕を引いて自分の懐へ無垢な体を掻き抱く。屈強な男の腕に背後から抱かれ、抗うすべも無く少女は体の自由を奪われた。成熟しきってもいない女の力などたかが知れている。男は片手で少女のやわな両手首を掴み込み、もがいても無駄だと、力の差を見せ付けるかのように一瞬その手に力を込めた。余りにも日常とかけ離れすぎている衝撃にさらされ続けた少女は、もはや自分の身の上にもかかわらず何が起っているのかすらも分からずに男に振り回されるに任せていたが、その交差させられた手首に走った一瞬の痛みでわれを取り戻した。
「い・・・いやぁ・・・」
 今度こそ体を被う布の一枚も無しに、両方の膨らみを好奇の目に与えることを余儀なくされた。両手は背後にいる男によって強制的に頭上に掲げさせられているのだ。
「くっくっく、いい格好だ。胸がドキドキするだろう? これからもっといいことが待っているんだぜ・・・」
 いいこと、の部分を下品に強調し、いいながら男は白粉でも塗ってあるかのように真っ白な少女のうなじに舌を這わせ、微かに上気して色づき始めた胴体を脇腹の辺りから上へ上へと、傷口に軟膏でも塗り込むかのような手つきでまさぐり上げていった。
「ひっ・・・う・うぅ・・・」
 これから自分はどうなるのかという恐ろしさと、的の無い悲しさとから涙があふれ、男の指が断続的に刺激を与えるにつれて、くすぐったさと、なまあたたかさと、そして奇妙な話だが安心感にも似た、今まで少女の感じたことの無い快感とが胸の突起に集中した。
「お前、処女だな? 見ればわかるさ」
 いいながら、それまで乳房を愛撫していた手を下半身に残っていた衣服の隙間からするりと股間に潜り込ませると、前方から手のひらを押し付けて中指と人差し指で続けざまにまだ柔らかい毛でしか保護されていないラインをなぞる。
 びくん、と少女は目を見開き、体全体を一瞬大きく痙攣させた。目を開くと、今にもよだれを垂らしそうな顔で自分の肉体がもてあそばれるさまを眺めている男たちの姿が目に入り、すぐにいたたまれなくなって、現実は何も変らないのだが、顔を背けて目を伏せる。
「痛みに泣き喚く処女を無理矢理・・・ってのもいいもんだが、しかしまだ餓鬼でもこれだけのいい女をよってたかってツブしちまうのも勿体ねぇ話だな・・・」
 これだけの人数の男たちに輪姦されれば、おそらく少女はそれ以上の苦痛よりも舌をかむなりして死を選ぶだろう。事実、アジトに連れてかえって夜通し楽しんだ後、次に目にしたときには既に凄惨な血の海の中で、あるいは我が首に縄を掛け、そうして事切れていた娘も少なくなかった。
「そうだな、あいつを使ってみるか」
 ぶつぶつと考え事をしながらも、少女の体の上を舐めるようにうごめく手の動きは緩めていなかった。それどころか幾分動きが早く、細かくなってきており、既にその手は汗以外の体液に湿り始めてもいた。
「おいっ、コーゴ!」
 そう叫ぶと、男たちの中から傷だらけのいかつい体と禿頭が凶悪な印象を与える大男がガラガラ声でうめくように返事をした。
「ちっとそこの警戒区域の入り口辺りまで行って、水ワームを二、三匹捕まえてこいよ」
 警戒区域の先は妖怪獣の天下であるジャングルが広がっている。普通、人間は滅多にこの辺りまで来ることはなく、そのため大手を振って通りを歩くことのできないならず者たちが住処とするにはうってつけの場所でもあった。
「水ワーム・・・分かった」
 へへ、と薄笑いを浮かべながら、コーゴと呼ばれた禿の大男は少し先に行ったところにある、今まで走って来た明るい広葉樹の森とは明らかに異質な、ツタやシダが密生している見るからにじめじめとしたジャングルへと向かった。ジャングルと広葉樹林との間には奇妙にも木の生えていない地帯が、まるで誰かが地図の上から線でも引いたかのように存在しており、それはそのジャングルが通常の生態系とは相容れぬ存在であることを正に警告するものであった。
 指示を与えながらも男は少女の清純を責め立て続けており、今度は少女の無垢な股間を蹂躪している手の中指をカギ状に曲げて、関節を彼女の中心に押し付けながら擦り上げるように刺激を与えていた。下半身を隠していたはずのゆったりとした木綿のスカートはいつのまにか引き裂かれ、少女の足はその付け根近くを布地の残骸で隠されただけでスラリとした白い成長過程の美しい肌をさらしており、見も知らぬ男の手によって与えられる快感に耐えるかのように小さな足の指が少女のうめき声にあわせてねじるような運動を繰り返していた。
「あっ・・・はぁっ・・・ひぁっ」
 次第に息が荒くなり、はっ、はっ、と鼻にかかった呼気を間を置いて吐き出しては、息を吸い込むときには意識せずして甲高い声を漏らす。頭の奥がジンジンしてきて何も考えることが出来ず、かろうじて働いた羞恥心が時折思い出したように拒否の声を上げさせるが、その声がすでになんの意味も成さないことはその場の誰もが知っていた。
「いやぁ・・・もう・・・やめ・・・はくぅっ」
 言葉が形を成しそうになると、男は少女のひだをつねることで言葉を途切れさせる。その刺激も彼女にとってはもう痛みとも快感ともつかない、単に官能へ達する信号の強弱でしかなかったが、どちらにしろ男の目的はそれで事足りるのだ。
「トッザ、これでいいか」
 しばらくしてから、親指ほどの太さで長さ30cm弱ほどの、緑色のミミズともヒルともつかない生き物を二匹ほど捕まえて、大男のコーゴが戻ってきた。
「ほぉ、緑色とは上等だな。こいつはいい動きを見せるだろうぜ」
 ゴーゴのごつい手のひらの上でぬめぬめとのたうっている水ワームは、通常は栄養のある水を皮膚と口とから吸収して生きている警戒区域の生物だ。栄養のある水とは、たとえば肥沃な土地の泥水、動物の血液、体液、そして植物の汁などで、水ワームの色は最も多く吸収した液体の色がそのまま呈色されてくる。たとえば動物の体液、歯が無いので動物の死骸や傷口にたかる水ワームは血液の赤を、泥水なら茶色や黒を、そして植物の汁だと緑を体の色とする。だが植物の汁は他に食い物が無いときに吸うぐらいで、つまり緑色の状態の水ワームは動物の体液に飢えているといってもよい。
 少女の神経をさんざんとろけさせていた男----トッザと呼ばれた----は彼女の下半身から手を取り出し、びしょびしょになっている自分の手をひと舐めすると、意識がもうろうとしている彼女にかろうじて掛かっていた布地の残骸をとうとう全て剥ぎ取り、全裸にした。股間からは溢れんばかりの液体が内股をてらてらと光らせ、さして大きくも無い乳房の先端はしこりを際立たせていた。それでもかろうじて残っていた羞恥心といえる気持ちが体を縮め込ませてはいたが、散々っぱら開発された女の腰はすでに力が入らないようすで、求めるようにひくひくと細かな痙攣を繰り返すのみで脳の命令を無視していた。
 トッザはゴーゴの手から一匹の水ワームをつまみ上げ、いったいこれ以上何をされるのか、とすら考えられないほどにわなわなと震える少女の、まるで人形か石膏の像かのように白く直線で形作られている清楚な両足の膝を持って押し広げた。
「あ・・・あぁ・・・」
 抵抗すらできなくなっているのか、我が身を開いている男の行為を少女は他人事のように見つめていた。
「一度こいつをここにくわえ込んだら、二度と忘れられねぇって言うぜ」
 いいつつ、トッザが舌を伸ばしながら少女の湿りきった中心に顔を埋め、ディープキスのようにしゃぶり付いて舐めると、少女はあっと息を吸いながら悲鳴とも歓喜とも付かない声を上げた。しかしトッザがむさぼりながら手につまんだ水ワームを少女の眼前に示すと、その不自然に湿った細長い体としたたりおちそうな粘液のかもし出す薄気味悪さに今度こそ小さく悲鳴を上げる。
 トッザはすぐに舌を離し、そして少女の抗議の声などは意にも介さずに、いよいよ水ワームのヒルのように肌に吸い付く頭を少女の匂い立つ場所に添えた。
「やぁ・・あ・・ぁぁ」
 嫌悪に身を硬くするが、両足は押さえつけられていて動かすことは出来ないし、払いのけようと手を使おうとしたがそれもトッザに阻まれてしまった。
水ワームはその匂いの元を嗅ぎ付けるとすぐさまぬるぬると侵攻を開始した。うねる触手状の生き物がついに何者の侵入を許したこともない少女の聖域を犯し始めたのだ。
 久しぶりに動物の体液を味わった水ワームは、もっと貪欲に奥へ奥へと移動していくと、ごちそうを得た喜びになのか、水ワームは少女の内で自分の体をのた打ち回らせる。
「あぁ・・・いやぁぁぁぁぁ」
 少女は忌むべき外見の生物に体を犯されているという嫌悪感に、はじめは信じられないといった目で生きた肉棒が突き刺さった自分の股間を見つめては力なく悲鳴を上げていたが、自分の中で水ワームが活発に動き始めると、その声は直接に快感を訴えるものとなった。
「ああっ・・・やぁっ、ああああぁぁぁぁっ!!」
 もはやトッザは少女の体を押さえることをやめ、官能の叫びを上げながら全身を弓なりにそらせている少女を満足げな顔で眺めていた。少女は背中を地に付けた状態で、足のつま先を立てて腰を浮かせており、その股間からは10cm程度の、水ワームの後部の胴体が突き出してぐねぐねと踊っていた。肉壁に埋もれた水ワームの前身も同じように少女の内部で女を狂わすダンスをしているのだろう。
「いやぁっ、あっ、いああっ」
 言葉にもならない嬌声を上げ、水ワームのダンスにあわせて浮かせた腰をくねらせるその姿にもはや清純な少女の面影はなかった。自由になった彼女の両手は、自分の体を犯す物体を引きぬこうとしているのか、それとも耐えようとしているのか、直接それを握る勇気を出せずに自分のしたたりと化け物の粘液とでねとつく己の内股を強く押さえつけていた。その格好はまるで股間を自ら押し広げようとしているかのようで、ヒクヒクと反り返る腰を男たちにあますところなく、奥の奥まで見せ付けようとしているようでもあった。
 水ワームは少女の中で、官能の体液を吸って少しずつ少しずつ肥大化していた。後から後から供給されるごちそうに、ますます運動を激しくしていくと、次第にその体液に赤いものが混じるようになっていたが、それこそ新たな美味とばかりに味わいながら、水ワームはすでにふた周り近くも太く硬くなっていたのだ。液体を吸い取っては徐々に成長する水ワームによってだんだんと広げられ少しずつ引き裂かれる喪失の痛みなどは、与えられる快感の前では己の唇をかみしめるほどにも感じていなかった。
「いっ、いいっ・・・ああ・・・ああああああっ!!」
 筋肉が緊張して弓なりになった体を一層のけぞらせて、最深部に与えられる快感によって、ひときわ大きい声を上げながら少女は生まれて初めての絶頂へと上りつめていた。人のものではない、ねとねとしたいやらしい虫に全身を体の中から嘗め回されるような汚辱感すらも、絶頂への一つの快感として、いやそれすらも分からなくなってただただ快感を貪るだけの一匹の雌と化していたのかもしれなかった。
「ああっ・・・はぁっ、ゃ・・・ぁぁぁ・・・だめぇ・・・・」
 少女が発する言葉からだんだんと意味のある物が減りつつあり、すでにただ喘ぐだけしか出来ないほど神経がとろけていた。水ワームは一時間もすれば満腹になり去って行くだろうが、このまま一時間も放っておけば、先ほどまであどけない表情をも残していたはずの少女も、ひたすら股間への刺激ばかりを求める狂女へと変貌しているだろう。トッザたちの目的は正にそれで、そうなる直前で少女を"飼う"つもりであり、そして飽きれば娼館なり好事家なりに売り飛ばす心算だった。もっとも理性を失っていつまでも求め続ける気狂いをまともな娼館が引き受けるとは思えなかったが。
「しかしまぁ・・・すげぇ効き目だな、おい」
 話に聞いていらい、トッザ自身、水ワームを女に試すのは初めてのことだったが、まさか本当にここまで効くとは思っていなかった。これは他にも使えそうだな、と考えないでもなかったが、目の前で股間から触手をはやし、あられもない痴態を繰り広げて官能の極致に達しようとしている少女を見ていると、やはりそちらの方に目を取られる。
 その時、不意にトッザの首筋に冷たいしずくが落ちてきた。
「なんだっ!?」
 一瞬首をすくめ、すぐに腰に差したナイフに手を添えながらしずくの落ちてきた上方に向かって身を構えた。タングやコーゴ、他の男たちもそれにならう。見ると、空を仰ぎ見ることは出来ないほど青々と茂った木々の、そのうちのトッザの真上に張り出している枝の一本にひとりの女が座っていた。
 年齢は20代半ば程度だろうか、肩にかかる程度の長さで綺麗に切り揃えられた燃えるように赤い直毛の髪と、全体的に締まってスラリとした体型にぴったりとした革の服を着、膝ほどまでの長さの白いゆったりとした上着を着ていた。絶世の美女とは言えないにしろ、細長く鋭い目、小さくも顔の構成をまとめているスリムな鼻、そして存在を主張するかのように赤い唇を収めたその顔は、男に対しては特に強く印象を与える。しかしこの時の彼女は大きく目を見開き、呆けのように口を半開きにし、あごを突き出して、もだえる少女を見ては涎を垂らしていた。どうやら一部始終をずっと覗いていたらしい。
「手前ぇっ、何者だ!」
 猿のような小男のタングが枝に座った女に向かって甲高い声で叫ぶ。女は、しかしまだ気付かずに体をくねらせる少女に見入っていた。
「ああ・・・ああんっ、やぁ・・・うっ、くぅぅ・・・ふぅん・・・」
 股間に埋もれた触手生物の動きはますます激しく、太くなり、そして少女の官能から生み出される液体は水ワームにも吸収しきれないほど分泌されては少女の体の上を伝わって、ところどころ地面をぬらすほどになっていた。少女はすでに周りにいる観客のことなどは忘れて、左手の指をしゃぶり、右手で自分の胸をまさぐりながら指で乳首に刺激を与え、みずからより深い高まりを得ることに夢中になっていた。欲求不満の娼婦を密室にひとり閉じ込めて媚薬を投与したとしても、ここまで我を失うことはないだろうというほどで、つまりそれほどまでに水ワームが人間の女性に与える快感はすさまじかったのだ。
「聞いてんのかっ! おいっ、そこの木の上でよだれ垂らしてるねーちゃんよぉっ!」
 トッザがものすごい声を張り上げてようやく、枝に座った女性は自分が見つかったことに気が付いたようだった。一瞬あたりをきょろきょろ見回し、不意にトッザたちと目が合ったかと思うと、表情を凍り付かせながら手のひらを口に添えてこう言った。
「にゃ・・・にゃ〜ご・・・」
 ナイフが一本飛んできた。女が座っている木の枝の、すれすれの部分にナイフが突き刺さる。
「このババァっ、やっていいことと悪いことの区別もつかねーのか!!」
 目の前にいるのに、それを猫の鳴きまねでごまかそうとされては流石に腹が立つ。思わず口より先に殺意が湧いたようだ。
「バ・・ババァとはなによ、あたしはこう見えてもまだ16なんだからね!!」
 間髪入れずもう一本ナイフが飛んでくる。今度はまともに顔のど真ん中へ狙いが付いていたが、バランスを崩しつつも何とかよけ、そのまま枝から逆さまに足でぶら下がる格好になった。
「・・・26よ」
「わかりゃいいんだ。で、お前さんそんなところでなに覗いてるんだ。仲間に入れて欲しいんだったら俺達が相手してやろうか?」
 言って、トッザは大男のコーゴに軽く目配せをする。コーゴもどうやら、総身に知恵が回りかね、というほど馬鹿でもないらしく、トッザの目配せの意味を理解して目立たぬように後ろに下がっていった。
「生憎とね、女の子を追い回して酷いことするような下衆めらを相手にするほどこのあたしは日照っちゃいないのよ」
 木の枝に逆さまにぶら下がったまま、ハスキーな声で挑発するように余分な抑揚を付けて言い放ち、べーっ、と舌を出した。ちろちろと唇の先で踊る細く赤い舌が妙になまめかしく感じる。
「けっ、そうかよ。まぁ俺達にだって選ぶ権利はあるがな」
 ニヤニヤと意地の悪そうな笑みを浮かべながらトッザはそう言い、あざけるように軽く鼻を鳴らした。
「あんたらこのサイン様に喧嘩を売ろうっての?!」
「どのサイン様だか知らねぇけどな、生憎とそこまで暇じゃねぇんだよ。コーゴ!」
 あいよぉ、とちょっと離れた場所からコーゴの返事が聞こえた。コーゴが居る場所は、サインの座っている木の枝の、本体の幹が根を下ろしている場所でもある。トッザに命令されたコーゴは、その巨体でもって木の幹へ力任せに体当たりをかました。
 ざわっ、と梢の方で葉と葉、枝と枝がこすれる音が湧き起こり、数羽の鳥がギャァギャァと泣き声を上げて飛び立ったかと思うと、一呼吸おいて、そしてサインが頭から落ちてきていい音を響かせた。5メートルはあろうかという高所からもろに頭から落ちたせいで、あっけなくもサインは気絶してしまっていた。
「口ほどにもねぇな。タング、目が覚める前に縛り上げちまえよ」
「はいさ、で、こっちのガキはどうする?」
 タングがあごでしゃくった方では、少女が股間から全身へ響いてくる、永遠に続くのかと思わせるような快感に酔いしれ、クチャクチャと全身の穴から淫靡な音を立てていた。ときおり甲高い声を上げては何度目とも知れない絶頂を迎えたことを知らせる。
「もういいだろう。水ワームを引っこ抜いて、そいつも----もう縛る必要はねぇか、馬に乗せな」
 コーゴがひょいと少女を肩に担ぎ上げて馬に乗り込んだ。余韻に浸っているのか、声にならないうめき声を上げつつも何も考えられない様子で、ぐったりとして逆らうことはしなかった。
 その間にタングが取り出したロープでサインは縛り上げられ、馬に乗せられると、トッザの一行は自分達の隠れ家へと去っていき、あとには男の手首ほどにも太った水ワームと、直径15センチほどの丸い穴が残されるだけとなった。

「いやぁぁぁぁぁーっ」
 細長く続く薄暗い自然の洞窟を、木の扉で区切ることで部屋を作ってある盗賊達のアジトの中に連れ込まれてから、しばらくして、突如響き渡った女の悲鳴によってサインは目を覚ました。
「ちょっと早かったみてぇだな。まぁこいつの味はもう知ってんだからよ、突っ込んじまえば静かになるだろうぜ」
 数人の男に取り囲まれ、先ほどの少女が裸のまま壁際に追いつめられていた。輪の外からトッザが指示を出す。
「へへ、じゃぁ俺からいかせてもらうぞ」
 中のひとりが一歩前に進み出ると、ズボンを脱いでいきり立った男の欲望をあらわにする。先ほど散々水ワームに責められたとは言え、人間の男を相手にしたことの無い少女は、初めて目にする体の器官を見てグロテスクな生き物を見るような脅えた顔であとずさった。男はかまわずもう一歩少女へ近づくと、白く細い腰に手をかけて押し倒した。続けて片足をかついで押し開くと、その勢いのまま前戯もなく挿入した。
「いやぁっ、やめてぇーっ!」
 そんな絶叫を股間を怒張させた男どもが聞き入れるわけもない。少女の上に乗った男は叩き付けるように腰を振り始めた。
「おうっ・・・こいつはなかなか具合がいい・・・とても始めてたぁ思えねぇな」
 いいながらもリズミカルに腰を動かし、数回に一度、子宮の奥まで突いてやるとばかりに深くねじ込もうとする。
「あんっ、はぁぅ・・・、ああっ・・・ああっ・・・」
 先ほどの水ワームの影響か、初めて男を受け入れる筈の少女の唇から漏れてくるうめき声はすでに快感をあらわすそれとなっていた。
「おらっ、出すぜっ」
 ひときわ大きく腰を動かし、深い位置で小さく速く前後させると、男はびくんびくんと数回体を弓なりに反らせて白濁した粘液を少女の奥深くに放った。
「やぁぁぁぁ・・・・」
 汚されたという思いと、気持ちが良いという感覚とのせめぎあいを感じながら、少女は諦めにも似たため息を吐いた。
「次はおれの番だ」
「おれも・・・我慢出来ねぇ。おらっ、顔をこっちに向けろっ」
 ひとりが少女の頭を掴むと、自分の股間へ顔を埋めさせた。少女の喘いでいた唇へ硬い肉棒が口一杯に押し込まれると、少女は知らずのうちにそれへ舌を絡めてぴちゃぴちゃと舐め始める。もう抵抗するそぶりすら見せなくなっていた。
「ほれ、腰を上げろよ」
 もうひとりが少女の細腰をごつごつした手で掴み、中腰になった自分の腰の高さまで白い尻を持ち上げさせると、バックから突っ込んだ。
「はあん・・・あぁ・・・」
「腰ふってばっかいねぇで、こっちもしっかりと舐めろよっ」
 前から頭を押さえつけている男が、少女の頭を軽く叩いて命令した。
「んっ、ちゅばっ・・・れろ・・・ぴちゃ、ぴちゃ」
 唇とペニスの隙間から、舌の働いている様子を誇示するかのように卑猥な音が漏れてくる。少女は両手でペニスの根元をさすりながら、頭を動かして舐め続けた。
「くっ、行くぞ・・・飲みな・・・」
 少女の唇を犯している男が体を震わせる。少女はもう何も言わず、ビクンビクンと断続的に放たれる精液を黙ってすべて口の中で受け止めた。少々ためらうように唇を開けかけたが、すぐに閉じて口の中でねとつく液体をごくんと飲み込む。粘度の高いザーメンが喉にからまりむせそうになるが、何とかしてそれを飲み下した。
「ふっ!」
 後ろに掲げた尻をもてあそんでいた男が鼻から大きく息を吐き出すと、同じように体を小さく震わせて果てた。どくどくと己の白濁液を少女の膣の中へなんの遠慮も無く注ぎ込むと、少女はそれへ答えるかのように歓喜のうめき声を漏らした。
 宴はまだまだ始まったばかりである。
 ランプのあかりで照らされるだけの薄暗い洞窟の中の、木の扉によって区切られている部屋のうちの一番奥まった一室から、荒い息とうめき声がかすかながらも響き漏れて来ていた。その、30人も入れそうなほどの広さを持つ一室では、カビとランプ油のにおいに混じって、むせるような男くささや女の匂い、そういったあらゆる性臭がまじりあって退廃的な雰囲気をただよわせる。部屋の中央では、屈強な、ひょろ長い、チビの、様々な様相の男たちが10人弱ほど集まってひとりの少女を思い思いの体位でむさぼっていた。あるものは正面から、あるものは横にして、そして後ろから獣のように突き立てるものがいれば、同時に前からも無尽蔵の欲望に任せて少女の唇を犯すものが必ずいる。少女のだらしなく半開きになった口からは白濁した粘液が長い糸を引いて地面へしたり、ロウ人形の肌のごとく白濁した液体が、へたくそな水彩画のように塗りたくられている顔は、もはや目の焦点が合っていない。あまり豊満であるとは言えない胸は赤く腫れ、しかしその先端はさらに色づいて痛々しい様相を呈していた。どれだけ精液を注ぎ込まれたか分からない少女の膣からは、息づいているかのごとくヒクヒクと痙攣をするたびに泡立つ粘液が流れ出し、また同じく何回も使われた尻は生きている限り働き続ける括約筋のせいで、男たちから注がれれば注がれただけも飲み込んでいた。
「おらっ、もういっちょ!」
 傷だらけの大柄な男が荒々しく突き立てていたものを引き抜くと、ぐったりとした様子で仰向けに床へ倒れている少女へ向けて発射した。少女はああ、だの、んん、だのと意味の無い唸り声を上げ、指を口に当ててはぁはぁと疲れきった息と、鼻にかかったような喘ぎ声をもらす。そのしぐさが男たちをもっと駆り立てるのか、飽きもせずにまた違う男が覆い被さる。もはや理性というものは存在しない、獣の、それもオスの野生のみが支配する淫猥な世界であった。
(・・・ひどい・・・)
 その部屋の隅に後ろ手で縛られたまま放っておかれ、そろそろ意識を取り戻していたサインは凄惨な現場を目にして他人事のように感想を漏らした。と同時になぜ自分は無事なのかという疑問にもとらわれる。
「目を・・・覚ましたようだな。サイン・アインバランテ」
 頭の後ろの方で声がした。縛られているので首だけそっちに向けるということが出来ず、サインはごろりと体ごと転がった。
「・・・どうしてあたしの名前を?」
「その前に俺の問いに答えてもらおう、誰に頼まれた?」
 縄張り争いの相手もいれば、近隣の村々の可能性もある。盗賊稼業などをしているトッザにしてみれば、あちこちに敵が居るのは当然だった。その刺客をこうして捕まえた以上、何としてでも依頼主を吐かせて報復をしないことには示しがつかないし、相手からも舐められてしまうだろう。しかし見当違いの相手に仕掛ければこちらにも要らぬ被害が出もすれば、本来の相手にその隙を突かれもするだろう。相手が把握できて初めて報復手段の企みようもあるのだ。
「どうだ、素直に吐いちまえばすぐに開放してやらねぇでもないんだがな」
 もっともそんな言葉でほいほい喋られては今後のお楽しみもなくなる。それにサインが吐くとも思えなかった。
「ま、吐かねぇよな。そう来ないとせっかくの準備が無駄になる」
 ちらり、とトッザが扉の方に目をやると、いつのまにそこに居たのか、扉の奥に立っていた、ずんぐりと太った不吉な顔色をした小柄な男がすうっと通路の闇に消えた。
「待って・・・言うから酷いことしないで・・・依頼は森の端にあるキアス村の自警団からよ」
 ひどく脅えている様子を取り繕ってサインはあっけなく依頼主を吐いた。が、しかしその声にはなんとなく不自然なところがある。
「そんな言葉が信じられるとでも言うのか、白衣のペテン師さんよ」
 キアス村といえば、森の端ということは確かだがトッザらのテリトリーではなかった。ここからでは馬で丸1日以上かかり、トッザの盗賊団が食い物とするには少々遠すぎる場所だった。まして小人数の団体であるトッザ達にとって、キアス村のように人口が500人を超える大きなの村を直接襲うようなことはまずできない。彼らは主に街道を通る小さなキャラバンや、不運な旅人を餌食としていたのだ。
 サインは気絶している間にこの洞窟作りのアジトへ連れ込まれたので、方向感覚はおろか、ここがどの辺りであるのかすら分かっていなかった。が、何とかしておのれのペースに引き込もうと当てずっぽうで適当な言葉を吐いたのだ。
「あんたの顔も名前も、それに手管もこっちは把握済みさ。サイン・アインバランテ。通称『白衣のペテン師』さんよ」
 サインは無表情のまま、勝ち誇ったようにニヤつきながら椅子に座ってこちらを見下ろしているトッザを睨み付けた。
「手配書見てぇなもんだがな、たまぁにこういうもんが俺達の間で回ってくんのさ」
 言って、紙切れをひらひらと示す。その紙には似てるように見えなくも無い似顔絵があり、その下にこう書かれてあった。『サイン・アインバランテ、口車に載せることで仲間割れを起こさせる手段を得意とするハンター。B級』。
「失礼ね、B級ってのは何よ!」
 縛り上げられ、絶体絶命の状況に陥っているにもかかわらず、サインもなかなかへこたれない。その手配書を見て正直なところの感想を漏らしていた。
「で、野郎たちに直接お前を好きにさせてねぇってわけだ」
 男たちに陵辱させ、その時にでも口車に乗せられる奴が居ては面倒なことになる。まして大男のコーゴあたりをたぶらかされた日には、主戦力を持っていかれてしまうことになってしまう。そう考え、大事を取って目が覚めたらトッザ自らが尋問を行うつもりであったのだ。
「さるぐつわで話せなくしてから輪姦すってのも考えたが・・・なにより依頼主を探らないことにはこっちも落ちつかねぇんでね」
 女にかまけていて、パンツをおろしていたところを襲撃され、ろくに戦えず殺されたとあっては死んでも死にきれないどころか伝説の笑い種にでもなりかねない。
「なんだかんだ言って・・・どうせ自分のサディスティックな趣味を楽しもうって魂胆なんでしょ。まともに女の子も相手に出来ない不能野郎の考えそうなことよ」
「・・・別に俺ぁインポじゃねぇぞ」
 サインの軽口に対して、むっとしたように返す。
「さっきの女の子の時だって体をまさぐるだけで自分ではしてないじゃないのさ。それにこぉんなイイ女を前にして手も出さないのが全くいい証拠よね」
 あざけるように、口を歪めて流し目を送って挑発する。
「ふざけんな、誰がイイ女だ! それに俺は不能じゃねぇ、女房だってちゃんといるんだからな!!」
 言ってから、はっと身をこわばらせる。余計なことをいってしまったことと、サインの術中にはまりかけていたことを自覚した。
「あぁ、分かったわ。なるほどねぇ・・・トッザ、あんた盗賊なんて無法者やってるくせに、奥さんが怖いんでしょ」
 図星だった。サインにはめられないようにと自制を心がけていたトッザだったが、しかし見る見るうちに顔を真っ赤に染めていく。
「ぐ・・・そんな口聞いていられるのも今のうちだ・・・くそっ」
 腹いせに足元に転がっているサインの顔へ足で砂を浴びせ、そして中央でまだ少女をむさぼっている男たちの一団に怒鳴った。
「おいっ、こいつをあの部屋に運び込むぞ、二人ほどこっちこいっ!」
 口の中に飛び込んだ砂粒をぺっぺっと吐き出しながら、覚悟を決めたようにサインはその切れ長の目を更に細めた。
(レイプされるのならまだ手段もあったんだけど・・・爪の間に針を刺されたりするのとかの拷問は勘弁して欲しいわね・・・こりゃぁサインさん大ピンチだわ)
 サインが何を思案しているのかなど意にも解せず、そろそろ少女の肉体に飽きかけていた二人ほどがトッザに従ってサインを担ぎ上げた。そのまま扉をくぐって細長い廊下に出ると、通路は枝わかれしており、分かれた奥に赤い仰々しい金属製の扉が見えてくる。サインをかついだ二人に先行して歩いていたトッザは、重たくきしむような怪音を響かせて、扉を押した。

 その部屋には、ランプではなく部屋の隅の地面に直接ロウソクが数本立ててあった。足元からゆらゆらと揺れるあかりで照らし上げられる部屋の中は、尋常ではなく不気味な感じを受ける。家具らしい家具はなにも置いておらず、半径五メートルほどのいびつな円形のその部屋は、洞窟らしく水と泥の臭いが満ち、そしてどこからともなく流れてくる空気がひんやりと肌をなでてくる。
 とにかくもこの部屋を大きく特徴づけていたのは、床いちめんに描かれている二重円を基礎とした魔法陣と、なによりその魔法陣の中央にたたずむグレーと緑が混じったようなくすんだ色のローブを着ているでっぷりと太った小男----さきほど少女が嬲られていた部屋の扉のところに居た男----であった。灰色の、死人のような顔色をしているその男は、トッザに続いて担ぎ上げられたサインが部屋に入ってくると、サインの方を一瞥し、そしてトッザに向き直った。
「テグエグ、準備は出来てるな?」
 トッザがそういうと、小男は小さくうなずいて魔法陣の上からしりぞき、その外見とは裏腹に骸骨のようにやせた手で円の中央を指し示した。そこに置け、ということだろう。
 サインを担ぎ上げている二人の男にトッザがあごをしゃくって指図すると、そのままどさりと投げ下ろす。男たちの肩の高さから投げ下ろされた当のサインはたまったものではない。痛っ、と短く声を上げた後、大声で文句を言った。
「ちょっとぉっ、あんたたちっ! 女性はもう少し丁寧に扱いなさいよ!」
 いい気味だといわんばかりに口を歪めて嫌みに笑い、トッザが言った。
「なに、わざわざ手前ぇを尋問するためにここまで大掛かりな手間をかけようってんだ。十分丁寧だってもんだろう」
「何をしようってんだか知らないけどね、このサイン様をそんじょそこらの奴と一緒にするんじゃないよっ」
 威勢よく啖呵を切ったものの、こんな仕掛けを必要とする拷問など聞いたことも無かった。見たことも無い文字のような図柄が円に沿って整然と並べて描かれており、まるで巨大な白黒の万華鏡を見ているかのようだ。
「へっ、いきがっていられるのも今のうちだ。おい、もう始めちまえよ」
 言われて、トッザに指示されたテグエグは骸骨のような手を胸の前で合わせた。一つ大きく深呼吸をしてから、ぶつぶつとなにやら呪文のような言葉を口にし始めた。
 アボガ・ニュー・パスツ・シバサブ・・・・・だんだんと大きくなっていくテグエグの意味不明な呪詛がろうそくの明かりにゆらゆらと揺れる部屋の中に響き渡る。に従って、二重魔法陣の内側の円があやしく濃い紫色の光を放ち始めた。
 足元の奇妙な光に驚き、サインは円の中央から逃れた。トッザらが特にその行為をとがめようとしないところを見ると、べつだん魔法陣に入れられたことに意味はないらしい。ということは、催眠術などをサイン本人にかけようというわけではない、とサインは考え、拷問という感じでもないし・・・などと思案していた。
 次の瞬間、紫の光に満ちた内側の魔法陣から鋭く何かが飛び出した。
「ひっ」
 この怪しい雰囲気の部屋と、奇妙なローブをかぶった男、そして見たことも無い文字で書き出された魔法陣を目にして、さしものサインも心細くなっているのか、はからずも口から悲鳴が漏れた。同時に、縛られた上体を押し込むように両足でずるずると魔法陣から逃れようとするが、内側の円より三メートルほど大きい半径で描かれた外側の魔法陣に触れたところで、見えない壁がそれを阻む。そのための二重魔法陣だったのだ。
 胎動するかのように深紫の明滅を繰り返す魔法陣より飛び出したものは、一本のツタのようなものであった。ごつごつと節くれだったそのツタは、植物が巻き付く柱を探す動作を早回しで見ているかのようにグルグルと身をまわ
、そしてその先端が、ぴったりとした革の服に包まれたサインの肉体から伸びているスラリとした白い足に触れたかと見えたその瞬間、見つけた獲物を集団で捕獲するハイエナの群れのように、さらに多くのツタが魔法陣よりやおら生えてきた。
「はっはっは、サイン。このテグエグはウラワザ師、ってやつでな。どういう理屈かは知らねぇがこの魔法陣から警戒区域の外に居るようなグロい生物を呼び出せるんだとさ」
「・・・ドラ・ヴィラ・タンケ・タンケ・タンケ・・・」
 テグエグの不気味なリズムでつづられる呪文をバックに、トッザが説明した。ウラワザ師というもの何であるのか、その言葉自体に関してはサインには心当たりがあった。がしかし、だからといってこの事態から脱出する方策が考え付くわけでもなく、ましてやそのことに付いて深く考えるような猶予をいやらしいツタ状の触手が与えてくれるはずがなかった。
 最初にサインの足を見つけたツタは、そつなく右足首に絡みつき、そして中央へとサインの体を引きずり込み始める。ツタの根元が生えてきている魔法陣の中央へと獲物の肉体が近づいていくのが待ちきれないかのように、数本のツタがサインへ襲い掛かり、そしてサインの悲鳴が部屋いっぱいに響いた。
「いやぁぁーーーっ!!」
 表情の読めない顔で延々と呪文を唱え続けるテグエグ、そしてサインを挟んだその反対側で、にやにやしながらサインの悲鳴を心地よさそうに聞き入っているトッザには、喉も裂けよと声を張り上げるサインの目が未だ絶望の闇にとらわれていないことに気がついていなかった。
 薄暗い洞窟を住み処に整えた盗賊達のアジトの、本流とも言うべき部屋べやの連なる廊下から枝別れしたその先にある一室で、死人の唇のようによどんだ紫色のツタと、燃えるように赤い髪を持つナイフのような女性とが、格闘を、いや、正確には女性が一方的にいたぶられていた。
 ろうそくの炎にゆらゆらと揺れる部屋の中で、今まさに手中に捕らえた獲物を味わおうとするかのごとく、古木のように節くれだったツタがサインの手足へと絡みつこうとしていた。暗闇を引き裂くサインの悲鳴をものともせず、幾数本のツタの一本が鋭くもサインの胸の谷間に飛び込んだ。体のラインを強調する様にぴったりとあつらえられた革の服は、親指ほどの太さのツタが潜り込んで力づよく躍動することであっけなく裂け目が入ってしまう。そのまま幾らかも動かないうちに、赤い革地に入った裂け目はサインの体中を舐めるように広まり、あっというまに服はその役目を果たし得ぬようになった。
 隠されていた形の良い白い胸は、押さえつける服が裂けることで自由になってこぼれ落ちる。サインは羞恥に軽く頬を染めるが、そんな間もなくあらわになった双丘に対し、ツタは陵辱を始めた。腰の辺りにまきついていた一本のツタがサインの胸の前で鎌首をもたげ、乳首に触れるか触れないかまで近づいた瞬間、ツタの先端に十字のひびが走り、紫の殻が四つに分かれ、その奥から赤い肉に彩られた凝固した血液のようにドス黒い舌が粘液を滴らせて伸びて来た。ねばねばと赤く濁った粘液に包まれたその赤黒い舌は、ヒルや水ワームとも違う、もっと汚らわしい嫌悪感を見るものに持たせる。
「ひ・・・」
 一抹の望みを託して全身の筋肉に力を込めながらも、そのおぞましさに口元から悲鳴が漏れてしまう。粘液をサインのすべすべとした肌に塗り付けながら、長く伸びた触手は乳房のふもとから頂上へ向かって、らせん状に巻き付いてくる。しぼり、ゆるめ、そうして緩急を付けながら触手の胴体で全体的に刺激を与えつつ、その先端はなぶるように乳首を転がし、つつきを繰り返している。
「あ・・・あ・・・」
 人間相手であれば決して与えられることのない快感を持った愛撫に、ただ胸をまさぐられているだけにも関わらず、恐れの混じった喘ぎ声を口にしてしまう。後ろに縛られて自由を奪われている両手は、絶え間無く襲ってくる快感を懸命にこらえるように堅く握り合わせられていた。
 胸へと同時に、ふとももへと巻き付く一本のツタがあった。ごつごつとした木のような感触で肌にこすり付けられると、目の細かい紙やすりをあてられたような軽い痛痒感を覚えるが、その感触すら大腿部から上へと上がってくるにしたがってぞくぞくと感じてしまっていた。
 腰の辺りまで上がってきたツタは、そこで先ほどのツタと同じように先端を割り、赤黒い舌を露出させる。すでにあらわになっているサインの下着の辺りを、ねとねとした触手が肌を這いながら下着の中へと潜り込んだ。
「んっ・・・や、やめ・・・」
 胸の膨らみへ与えられる刺激から朦朧としながらも、冷たい粘膜の化身が股間を這い回る嫌悪感に両足を閉じて筋肉を硬直させる。
 もちろん触手はそんな抵抗などものともせず、かえって得たりとばかりに動き回る。堅い表皮を持つツタで巻き付き、あわせられた両足の隙間をこじ開けながら、股間を味わう触手の動きはなおも激しさを増し続けた。サインの下着の中で二重三重に折り重なって淫らに動き回る触手は、おぞましくも確実に女の急所をせめたて、膣口に入るか入らぬかという微妙な位置を執拗に舐っていた。
「ああぅ・・・くっ・・・だめ・・・くふぅ・・・」
 まるでサインの呼吸に合わせているかのように緩急をつけて、黒くも赤い舌状の触手が性感帯に刺激を与え続ける。サインが息をつめて耐えようとすれば、くすぐる様に軽く肌をこすり、耐え兼ねて息を吐けばその瞬間に強烈な刺激が全身を駆け巡り、ちょっとでも気を抜けば自我が崩壊してしまうほどの快楽が押し寄せる。
(駄目・・・ここでイってしまっては、アレが使えない・・・)
 サインの考えるところのその"アレ"こそが、もはや何の抵抗もし得ないかのような現状で、最後の切り札となりうるものであった。サインは、それにすべてをかけていた。
 しかし、そんな考えを嘲笑うかのように、全身に赤く濁った粘液を塗りたくられた白い肌を蹂躪する触手の群れは、動きのパターンを変える。
「むぐっ・・・!!」
 サインの首に軽く巻きつき、背をそらせていた一本が、硬く閉じたサインの唇を押しのけて口中に進入を試み始めた。唇を押しのけられ、侵入をはばんで噛み締めた歯茎を、異質な触手にぬるぬるとねぶられる感覚に吐き気を覚えたが、気丈にも正気を保ち、耐えていた。しかし、肉体を責め立てている触手はその一本ではない。首筋で、胸の両方の先端で、足首で、ふとももで、引き締まった白い尻で、そしてすでにボロボロに破かれた下着がかろうじて残るだけとなった両足の付け根で、どこか甘い匂いのする粘液を擦り付けながら、ドス黒い触手によってサインの肉体を狂そうとする侵略が始まっていたのだった。
「ひぃっ・・・」
 股間に絡み付いていたツタの一つから出ている舌が、糸を引く液体でその部分を湿らせながら、肛門をこすりつけ始めた。敏感な部位へ不意に与えられた奇妙な刺激によって、つい口走ったが最後、執拗に口への進入を狙っていた一本が飛び込んだ。
「もごっ・・・うう・・・クチュ・・・」
 口の中で、ドス黒い触手がサインの舌をからめ取り、逃れようのない強い力で口の中を舐めまわしていた。下部を責めていた触手も、ほぼ同時に進入に成功した。上から、そして下から貫かれている状態となったサインは、こんな状態でも嫌悪感以外の感覚をこの異常な触手に対して覚え始めていた。

 膣のなかで、三本の触手が同時にうごめいている。奥を突かれ、膣壁をこすり、奇妙に動き回る三本の触手は、粘液を分泌しながら、それこそ絶望的なまでの快感を与え続けていた。全身を犯す、その動作にあわせるように、一定のリズムで断続的にあえぎ声を上げ始めているサインが居た。
「あっ、あっ、ああっ、あっ、あああっ、いやぁぁぁぁぁ」
「はっ、どうだ、吐く気になったかサイン! いいざまだな!」
 もはやサインはなぜ自分がこんな目にあっているか、はっきりと自覚はできておらず、ゆえにトッザの問いに対して答えるすべも持っていなかった。白亜の体に絡み付く魔法陣から生えているツタの、その中から出てくる触手は十本近くにも増えており、それぞれが全く別の個性を持っているように様々な動きで全身に刺激を与え、穴という穴に挿入を繰り返していた。魔法陣の見えない壁に閉じ込められ、後ろ手に縛られたままのサインがそれにあらがうすべがあろうはずも無く、不気味さにおののきながらも、両足を大きく広げて触手の陵辱を受け入れていた。
「くうっ、あうっ・・・」
 にちゃ、にちゃ、と嫌らしい音を立てながら、喘ぎ、そして全身にまみれている赤く濁った粘液を、顎から、後ろに廻された手の先から、大きく広げられた足の先から、尻から、ぽたりぽたりと床へ滴らせる。口からあふれる粘液は唾液と混ざり、膣から泡立って漏れてくる粘液もサイン自身の体液と混ざって、ひときわ早く流れているようだった。
(ああ・・・ガマンできない・・・)
 歯を食いしばり、唇をかみ破りながらも、もはやサインの自我は限界に来ていた。あとこのまま、もうしばらくもすれば快楽の渦に飲み込まれてしまうだろうと思えた。
 その時、魔法陣に変化が見えた。2、3回ほど大きく明滅したかと思うと、ヘドロのような溜まらない臭いを漂わせつつ、十本ほどの触手が生えている魔法陣の根元が盛り上がり始めたのだ。節くれだった紫色のツタの固まりが根元から盛り上がる姿は火山の噴火を思わせる。地の底より現れたのは、このツタの根幹たる本体であった。このツタ一本一本が別個の生物ではなく、一体の生物のやはり触手であったのだ。
 二重魔法陣の内側の円とほぼ同じサイズで、ツタの内側より出ている触手と同じく凝固した血液のような色の胴体が、無数のシワを全体によらせて現れた。サラミハムのような、といえば最も似ているだろうか、シワというのも気が引ける、黒ずんだ肉で出来たひだが寄り集まって植物ならぬ大樹を形成しており、その頭頂からゴーゴンのように触手をうねらせて、ヘドロの臭いとともにその全体が明滅する魔法陣よりぐねぐねと生えてきた。
「はぁ・・・くぅっ・・・あれが、本・・・体?」
 もうろうとした意識の底で、かろうじて確認することが出来た。目も、鼻も、口すらも無い、しわだらけののっぺら坊の体が完全に現れてしまうと、今度は触手達がサインの肉体を、足を広げさせたままその本体の方へと運び始める。もとよりあらがうすべの無いサインは、なおも口の中でぬるぬると舌に絡み付く赤黒色の触手を咥えさせられたまま、ただ首を左右に振ることが精一杯の抵抗でしかなかった。
 ここまで、いい気味とばかりににや付きながらサインの痴態をただじっと見ていたトッザは、このヘドロの臭いに気分が悪くなったといわんばかりにふぅと一息ついて、部屋を出ていこうとした。
「さて、と、またしばらくしたら様子を身にくらぁ。テグエグ、後は頼んだぜ」
 手を胸の前で組み、目をつぶりながらブツブツと何やら唱えて集中しているテグエグにそれが聞こえたかどうかも気にせずに、トッザは部屋の外へと出ていった。サインの裸体はともかくとして、あの化け物を見ていると吐き気がする。というのがトッザの正直なところの感想だったのである。女ってのはどうしてあんな化け物相手に劣情をもよおせるのか、それほどまでケタ外れに気持ちがいいのだろうか、などと考えながら、トッザは頭を押さえてよろめきながら頑丈な扉を開けて部屋を出ていった。
 がぁん、と大きく響いて金属製の重たそうな扉が閉まる。後にはテグエグの低い声で延々と続く呪詛と、シュルシュルとツタがサインの肌をこする音、そしてクチャクチャ、ヌチャヌチャと粘液がねばる音のみがその部屋を支配するだけとなった。
 そうこうしているうちに、おののきの目でサラミのような本体を見つめていたサインは、そのイソギンチャクもどきの体に走るいくつものしわの、ひときわ大きな一つがぱっくりと口を開けようとしているところを目撃した。
 二つに分かれたしわとしわの間は、薄暗い部屋の中では光ってさえも居るかのように明るいピンク色の肉が見えており、突如、びゅっとその間から白濁した粘液が床に吐き出されたかと思うと、それと同じ粘液にまみれた明るいピンク色の肉芽が音も無く伸びてくる。と同時に、むせ返るような、薔薇のように強い芳香が漂い始めた。イソギンチャクもどきのやや前、上方に足を広げさせられた格好で固定されているサインは、その肉芽が己の股間をめがけて伸びてきていることを知り、驚愕した。
 後ろ手に廻された両手の二の腕に一本ずつと、胴体に絡み付いた二本は両胸とその乳首を愛撫し、首の一本は口の中をなおも舐り、両足のすねと太股をそれぞれ一本ずつ固定するツタの先は、三本が膣、一本が肛門に挿入され、サインはありとあらゆる快感中枢をかつて感じたことの無い刺激で同時に責め立てられていた。合計、9本のツタが、触手がサインの体に絡み付いており、体の自由を完全に奪われた状態で、男の腕ほどの太さもあろうかというピンク色の肉芽が今まさにサインを貫こうとしているこのシチュエーションは、狂った悪魔のSMとでも表現されそうな情景であった。
 体をこわばらせ、目を閉じることも出来ず、サインが見つめているそのイボだらけの肉芽は、右に、左に、先端を振り、その度に肉芽の頭頂に小さく開いている孔からどくどくと止めど無く分泌している白濁した粘液を飛び散らせながら、大きく開かれたサインの胎内へ帰ろうとしている意志を持っているかのように、着実にぐんぐんと伸びていった。
「い・・・やぁ・・・来ないで・・・・」
 ぺとり、とサインの右足のふくらはぎの辺りに肉芽の先端が触れ、そこに粘液が滴り付く。そのあまりにおぞましい感覚に悲鳴を上げようとするが、腹に力が入らず、気の抜けたような喘ぎ声がせいぜいであった。その間にも道標を得た肉芽はサインの右足を頼りに肉体を上り、到達した。
「あ・・・あ・・・あ・・・」
 わなわなと震えながら息を漏らし、かろうじて声帯に力が入ったときにだけ音を発することが出来たが、すでにそれは言葉の形をなしてはいなかった。自分の足をすり上がってくるときに肉芽に感じた汚らわしさ、そして通った跡に道を作っている白濁した粘液。その粘液は今なお肉芽の頭からどくっ、どくっ、と当初よりも勢いを得て分泌されているのだ。あのいやらしいピンク色の肉芽が、己の胎内に進入してくる、そんな考えを頭に思い浮かべただけで気絶しそうになるほどの嫌悪感を感じながらも、肉芽が発するむせ返るような薔薇の匂いと胴体から発するヘドロの臭いとが交じり合った奇妙な芳香をかぐと、頭の奥がかーっと熱くなって来て何も考えなくなるような感じを覚える。
 その間も着実に伸びてきている肉芽は、その先端の孔からどくっどくっと分泌する粘液がサインの股間を叩くほどまでにいつのまにか近づいてしまっていた。そのまま、イボと粘液に包まれた腕ほどの太さもある肉芽が、サイン自身のひだをかき分け、粘液の助けを得て、ドクンドクンと胎動しながらついにサインを犯し始めたのだった。
「・・・・ーーーーっっっっ!!」
声にならない悲鳴とはよく言ったもので、本人は絶叫しているつもりだったのであろうが、己の欠所を隙間なくぺっとりと埋め尽くされつつあるという違和感に表情を歪ませ、足の指先までを含めて全身をわななかせていた。古ぼけた大樹が意志を持って女を犯しているような、そんな怪物の生殖器とおもわしき器官がサインの肉にくいこみ、中ではさも間欠泉かのごとく断続的に、そして力強く粘液が吐き出される。大きく押し開かれた両足の付け根からあふれ流れ出す化け物の体液は尻をなぞり足をたどってぽたりぽたりと床に落ちる。
「んっ・・・はぁ・・」
足先から意識の中心へと駆け上ってくる戦慄をこらえ、歯を噛み締めてはみたものの耐え切れず吐息が切なげにこぼれる。そうして一瞬ではあるが体を楽にしたとたん、それを見極めているかのようにサインの全身を愛撫し続ける赤黒い粘膜に被われた細い触手が、鋭く全身の性感帯に刺激を加え、それと同時に胎内に侵入してなお相変わらずどくどくと粘りつくゲルを吐き出し続けるピンク色の肉塊は大きく身をくねらせる。
「はぁっ、ひ・・ひぃーっ・・・」
 サインを貫いているおぞましい化け物のペニスは、それ自身をおおっているたるんだ皮そのものが意志を持った別の生き物であるかのように中で泳ぐように動いていた。この妖蟲を思わせる器官から与えられる感覚が、この世の生物の性行為とは全く違った意味を持っており、それは女を狂わすためだ、と言い表すことはあながち間違いではなかった。血液が凝固したカサブタが全身を被っているのだとも見える切り株の化け物の、本体に入った切れ込みからずるりと姿を見せている淡く光る白桃の触手が、四肢の自由を奪われた女の裸身を下から貫き、歓喜ともつかぬ悲鳴をあげさせているのだ。正常な感覚であれば怪物の姿に嫌悪を覚え、身を縮めてしまい濡れる濡れないどころの騒ぎではないだろうが、その上で悩ましげに身をくねらせ、火照らせた体をしならせている女性の表情は、耐えるそぶりこそ見せるものの基本的に苦痛のそれではなかったのだから。
 人間の体温よりは幾分低いのか、柔らかい表皮と弾力のある芯を持つ肉茎をサインは自分の膣内に冷たく感じとっており、それゆえ異物に犯されているという違和感も強かった。なにより、その蠢くピンク色の異物が自分の腹の中で吐き出す粘液の熱い感覚と、怪物の生殖器の冷たい感覚が自分のもっとも深い部分で己の体温と交じり合い、まるで同化するかのように侵食されてしまっているような意識を伴っているのだった。もしこの触手がこれだけ強い快感を伴わずに侵入してきていたとしたら、ごくありふれた普通の女----たとえばトッザたちに捕まって陵辱されていたあの少女など----であったなら間違いなく発狂していただろう。そういった意味も含めて、この触手を持つ怪物に受けるレイプは肉体的なものだけではなく、確実に精神をも犯していたと言えよう。
 無数の紫色のツタによって白樺の肢体を大の字に広げられ、ツタの先端から生え出でているヒルのような赤黒い舌が白い体の上を舐めるように這い回る。その舌状の触手が顔、首筋、両の乳房、腹、背、腰、尻と、ありとあらゆる部位を粘液で這った軌跡を誇示するように残しながらうねる。総身を持って性感帯となすように、とめどなく続く触手の愛撫はサインの全身を嫌が応にも高ぶらせていった。
「・・・ああ・・・いく・・・」
怪物は己がいたぶっている女の衝動の気を感じ取ったのか、果たしてそれだけの知能があるかどうかは疑問だったが、四肢の筋肉に、全身をそらせるように力を入れ悶えているサインの体を這う触手、股間を蠢きながら出入りしている肉茎のテンポを速くした。感情の高ぶりは刹那を追ってますます頂点を目指し、ぬちゃ、にちゃという膣口を出入りする嫌らしい音が切れ間なく繋がって聞こえるかまでに化け物のペニスは激しく動いていた。
「あーっ・・・あ・・・ああああああーっ!!」
高まる叫びが裏返り、絹裂く金切り声が薄暗い部屋の中でこだました。がくんがくんと全身を快感に震わせ、なおも止めど無く注ぎ込まれる怪物の粘液と交じり合った彼女自身の体液が、びゅくん、びゅくん、と裸身の躍動にあわせて股間に突き刺さるペニスと左右に大きく開かれたサインの朱唇の隙間から勢い良く躍動にあわせて断続的に吹き出す。
 奇妙だったのは、サインの裸体が触手に掲げあげられながら間を置いて痙攣するに合わせるように、怪物の本体上部より生えているツタまでもが、その割れた先端から見えている赤黒い触手までもがサインにあわせて発作でも起こしたかのように打ち震えていたことだった。

鍾乳洞の中に、二度三度と金属同士を叩き合わせたような耳障りな騒音が響き、続いてクリスタルが砕け散るときにも似た細やかな破裂音が響いた。
ぎぃん、ぎぃん・・・ぎぃん、ぎぃん、ぎぃん・・・かしゃん

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